ロッキー藤井の失敗劇場③
もし「癇癪玉」がなければ、
何十億円もの損失を
防げたかもしれない
何度倒れても、また立ち上がる。
皆さん、こんにちは。藤井薫です。
今日は、私の人生で最大の失敗の話をします。
私は約50年間、経営をやってきました。たくさん失敗しました。
しかし、もし、「たった一つだけ、過去に戻って直せる」と言われたら、私は迷わずこれを選びます。
私の中にあった「癇癪玉」です。
もし、この癇癪玉がなかったら。金額にすれば、何億円どころではありません。何十億円もの損失を防げたのではないか。今の私は、それくらいに思っています。
この大失敗が、
根っ子学を始めるきっかけになった。
自分自身の失敗を、根っこから見つめたことが、後に私が「根っ子学」を始める大きなきっかけになりました。
第1幕|普段はおとなしい。でも中には爆弾があった
癇癪玉は、
いつの間にか破裂していた。
自分で事業を始めてから、私は不思議な感情に何度も襲われました。
許せない。腹が立つ。
すると、自分では抑えられないほどの強烈なエネルギーが、身体の内側から湧き上がってくるのです。
そして、いつの間にか――
ドカーン!
普段の私は、どちらかといえば、おとなしく見える方です。ですから、私をよく知らない人は、私の中にそんな癇癪玉があるとは想像もしなかったと思います。
ところが一度破裂すると、別人のようになりました。
社員。取引先。お客さま。そして何より、若い頃の家内や子どもたち。
私はいったい、どれほど多くの人を傷つけてきたのか分かりません。
「機械を売らずに、
喧嘩を売ってきた。」
会社で、そんな冗談まで言われたことがあります。今なら笑って話せます。しかし、当時、私に怒鳴られた人たちにとっては、笑い話ではありません。
第2幕|製麺機のバリを見つけると
お客さまを守りたい。
その思いが、癇癪玉を破裂させた。
当社の製麺機のカバー類は、ほとんどがステンレスでできています。以前は、そのステンレス板の切断面に「バリ」と呼ばれる鋭い部分が残っていることがありました。
厨房で働くお客さまは、頻繁に水を使います。手が水でふやけていますから、ステンレスの端がほんの少し尖っているだけでも、手を切って出血することがあります。
部品の端を触る
並んでいる部品を、自分の手で一つずつ確認していました。
その瞬間、破裂する
「お客さまにけがをさせてはいけない」という思いが、怒りに変わりました。
責任者を怒鳴る
「何度言ったら分かるんだ!」と、社員を集めて叱責しました。
私は本気で、「お客さまを守るために怒っている」と思っていました。
ここが、一番恐ろしいところです。
私は「正しいこと」をしている
つもりだった。
「お客さまにけがをさせてはいけない。」これは今でも正しいと思っています。
ところが私は、正しいことを言っているのだから、自分の怒り方も正しい。と思い込んでいました。
信念と反応は、
まったく別物だった。
「お客さまにけがをさせてはいけない」という信念と、「相手を怒鳴らなければ問題は解決しない」という反応は、まったく別物でした。
当時の私は、それを切り分けることができませんでした。
社員は、「どうすればもっと良い製品を作れるだろう」ではなく、「どうすれば社長に怒られないだろう」と考えるようになります。
私は品質を良くしようとしていた。しかし同時に、人を萎縮させていたのです。
失ったものを、金額に換算すると
何十億円もの
機会損失だったかもしれない。
バリ事件は、一つの例にすぎません。この癇癪玉を、私は何十年にもわたって、家庭でも会社でも破裂させてきました。
失ったものを金額に換算することはできません。しかし経営だけを考えても、もし私にこの癇癪玉がなかったら、会社はもっと大きく成長できていたのではないか。私はそう思っています。
だから、「何億円」ではありません。何十億円という単位の機会損失だったかもしれない。これが、私の50年間の経営人生における最大の失敗です。
第3幕|78歳になった今
癇癪玉が、
消えていった。
そして不思議なことが起きました。
根っ子学に取り組み、自分自身を徹底的に振り返っていく中で、「なぜ私は、あんなに怒っていたのか」を初めて根っこから見つめました。
そして、自分の中にあった「癇癪玉」という影根っ子の存在に気づきました。
癇癪玉が、消えていった。
今であれば、バリを見つけても怒鳴りません。「なぜ起きたのか」「どうすれば二度と起きないのか」を一緒に考えればいい。
人を責める必要はなかったのです。
バリが消え、心からも癇癪玉が消えた
捨てる必要があったのは、
信念ではなかった。
現在、製麺機から、バリはほとんどなくなりました。そして、私の心からも、癇癪玉が消えました。
お客さまの安全
「お客さまにけがをさせてはいけない」という信念は、今でも大切です。
怒鳴らなければ解決しない
信念を守るための反応だと思い込んでいた、私の癇癪玉です。
原因を一緒に考える
人を責めるのではなく、再発しない仕組みをつくることです。
今日の根っ子
「止めたいのに止められないもの」を、
性格で終わらせない。
この文章を読んでいる方の中にも、「分かっているのに、また怒ってしまう」「同じことで何度も家族とぶつかってしまう」「人に任せたいのに、どうしても任せられない」「我慢して、最後に爆発してしまう」という方がいるかもしれません。
それを、「自分はこういう性格だから仕方がない」で終わらせないでください。私も、何十年もそう思っていました。しかし、私は変わりました。
根っ子学では、影根っ子を敵にするのではありません。まず存在に気づき、「なぜ、そう反応してしまうのか」を理解する。そこから、自分の反応を選び直せるようになります。
今日の小さな実践
怒りが出た時、
すぐに相手を責めない。
怒っているのだろうか。
怒りの正しさを証明する前に、その奥にある信念と反応を分けて見ます。
私は医者でも心理カウンセラーでもありません。でも、何十年も癇癪玉を破裂させ続け、家族や社員を傷つけてきた本人です。
そして今、その癇癪玉に振り回されなくなりました。
読者の皆さんへ
あなたにも、
「止めたいのに止められないもの」はありませんか。
「実は私も、怒りを止められないんです」
その一言だけで結構です。
特に、私が持っていたような「癇癪玉」が収まらず、困っている方がいらっしゃったら、いつでも私に相談してください。
格好をつける必要はありません。このメールに、そのまま返信していただいても結構です。
一緒に、「なぜ、自分はそう反応してしまうのだろう」と、根っこまで探してみましょう。
「癇癪玉」と一言送る →発行人
ロッキー藤井
大和製作所創業者・根っ子学®創始者。約50年間の経営、家族、失敗、事業承継の経験から、人や会社を内側から動かす「見えない根っ子」を言葉と構造で見えるようにし、自然な成長につなげる研究と実践に取り組んでいます。
失敗は消せない。でも、その失敗を誰かの未来に役立てることはできる。
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