ロッキー藤井の失敗劇場 ⑬

息子に構ってやれなかったので、
息子の人生まで決めようとした(笑)

何度倒れても、また立ち上がる。ロッキー藤井です。

経営者の皆さまへ | ロッキー藤井 | 根っ子学®創始者
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何度倒れても、また立ち上がる。
ロッキー藤井です。

前回、私は、
「家族のために働いたら、家族との時間がなくなった(笑)」
という話を書きました。

若い頃の私は、本当に仕事ばかりでした。
36歳頃には、毎週月曜日に飛行機で東京へ行き、金曜日まで都内を走り回る。
週末に香川へ戻ると、今度は製麺工場で製麺指導と品質チェック。
睡眠は4〜5時間。
ほぼ年中無休。

当時の私は、それを立派なことだと思っていました。
「家族のために働いているんだ」

ところが今になって考えると、子どもたちから見れば、
「家族のために働く父親」より、単に「いつも家にいない父親」だったのかもしれません(笑)。

第1幕 罪滅ぼしから始まったオレゴン留学

私は、子どもたちが小さい頃、ほとんど構ってやれませんでした。
そのことが、ずっと心のどこかに引っかかっていたのだと思います。

だから長男が成長したとき、私は考えました。
「今まで十分なことをしてやれなかった。せめて、最高の教育環境を与えてやりたい」

今振り返ると、そこには愛情だけではなく、少し「罪滅ぼし」の気持ちもあったのでしょう。

そんな頃、私は仕事でアメリカへ行き、オレゴンの素晴らしい環境に触れました。
広い世界を見てほしい。
英語を身につけてほしい。
国際感覚を持ってほしい。
これからの時代、日本だけを見ていてはいけない。

私は確信しました。
「ここで長男を学ばせよう!」
父親として、ようやく息子のためになることができる。
私は、本気でそう思っていました。
第2幕 息子の人生なのに、一番張り切る父親

ところが――。
一つだけ、大切なことが抜けていました。

息子本人は、本当にアメリカへ行きたいのか(笑)。

長男は、最初それほど乗り気ではありませんでした。
でも私は、
「絶対に良い経験になる」
「将来、必ず役に立つ」
「お前のためだ」
そう考えていました。

ここが、今振り返ると面白いところです。
息子の人生なのに、一番張り切っていたのは父親でした(笑)。

私は息子の将来を心配していた。
息子の幸せを願っていた。
その気持ちに嘘はありません。
むしろ、愛情があったからこそ、一生懸命になったのです。

第3幕 「してやりたい」と「決めてやりたい」の違い

しかし、根っ子学を始めて自分自身を見つめるようになってから、一つのことに気づきました。

「してやりたい」と「決めてやりたい」は、まったく違う。

子どもに構ってやれなかった。
その申し訳なさがある。
だから、今度こそ何かしてやりたい。
もっと良い環境を与えてやりたい。
失敗しない道を選んでやりたい。
そこまでは愛情です。

ところが、その思いが強くなりすぎると、
「この子には、これが一番いい」
と、親が答えまで決め始めます。

そして、もっと進むと、
「お前のために言っているんだ」
という、とても便利な言葉が出てきます(笑)。
これほど親にとって使いやすく、子どもにとって反論しにくい言葉もありません。

第4幕 「子どもは親の持ち物」という影根っ子

私の中には長い間、
「子どもは親の持ち物」
という影根っ子があったのだと思います。

もちろん、頭ではそんなことは考えていません。
子どもは一人の人間です。
自分の人生を、自分で選ぶ権利がある。
そんなことは分かっています。

頭で分かっていることと、
心の根っ子で本当にそう思えていることは、別なのです。
第5幕 事業承継で、再び返ってきた問い

そして、この話は子育てだけでは終わりませんでした。
後に、私は長男へ会社を承継することになります。
そこで、同じ問いが再び私に返ってきました。

「会社を息子に任せる」とは、どういうことなのか。
社長の椅子を渡すことなのか。
株を渡すことなのか。
それとも、
「お前のやり方でやってみろ」
と、親が本当に手を離すことなのか。

「会社はお前に任せる」と言いながら、
「ただし、私のやり方でやれ」では、
それは任せたことになるのでしょうか(笑)。

アメリカ留学を決めた頃の私は、息子の人生を応援しているつもりで、息子の人生の設計図まで自分で描こうとしていた。
今はそう思います。

第6幕 愛情が強いほど、相手の声を聞く

ここで、私は一つ大切なことを学びました。

愛情が強ければ強いほど、相手の声を聞かなければいけない。

なぜなら、愛情には時として、
・罪悪感も、
・期待も、
・自分の価値観も、
・親としての願望も、
混ざるからです。
全部をまとめて、「あなたのため」と言ってしまうと、自分でも分からなくなります。

だから今、子どもを持つ親、そして事業承継を考えている経営者の皆さんに、一つだけ問いかけたいと思います。

あなたは、子どもの未来を応援していますか。
それとも、子どもの未来を、自分で決めようとしていませんか。

そしてもう一つ。
「この会社を子どものために残したい」と思っているなら、一度だけ本人に聞いてみてください。

「お前は、本当はどうしたい?」
その答えを、反論せずに最後まで聞く。
親子の根っ子を変える第一歩は、案外そこから始まるのかもしれません。

私は、息子の幸せを願っていました。
でも、息子自身が考える幸せを、どこまで聞いていただろうか。
今振り返ると、そこが私の大きな反省です。

愛情が足りなかったのではありません。
むしろ、
愛情が強すぎて、相手の人生にまで入り込んでしまった(笑)。
これも、私の大きな失敗です。

【読者の皆さんへ】 もし今、
「子どものためと思っているのに、なぜか関係がうまくいかない」
「会社を任せたいのに、どうしても口を出してしまう」
「後継者が何を考えているのか分からない」

そんなことで本当に困っている方がいれば、このメールに、
「根っ子を見てほしい」 と一言だけ返信してください。
本当に困っている方だけ、根っ子を見させていただきます。
何度倒れても、また立ち上がる。 ロッキー藤井でした。
発行人 ロッキー藤井(藤井 薫)

「愛情が足りなかったのではない。愛情が強すぎて、相手の人生の設計図まで描こうとしてしまった(笑)。」

株式会社大和製作所 創業者・根っ子学®創始者。約50年間の経営、家族、失敗、事業承継の経験から、人や会社を内側から動かす「見えない根っ子」を言葉と構造で見えるようにし、自然な成長につなげる研究と実践に取り組んでいます。

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