ロッキー藤井の失敗劇場⑫

家族のために働いたら、
家族との時間がなくなった(笑)

何度倒れても、また立ち上がる。

経営者の皆さまへ | ロッキー藤井 | 根っ子学®創始者
この記事をWebで読む →

失敗から生まれた「根っ子の視点」を、次号もお届けします

何度倒れても、また立ち上がる。ロッキー藤井です。

私は若い頃、本当によく働きました。
というより、働くことしか知らなかった。

27歳で川崎重工を辞めて独立したとき、長男はまだ生後4か月。退職金は、たった9万円でした。

仕事もない。実績もない。お金もない。
あるのは、妻と小さな子ども。そして、「何としてでも家族を食べさせなければならない」という思いだけでした。

第1幕|公園のベンチと、妻の「大丈夫よ」

退職金9万円と、
「お米が……」の朝。

独立して3か月、仕事は一本も来ませんでした。退職金の9万円は、どんどん減っていく。

ある朝、妻が言いにくそうに、「お米が……」と言いました。

あのときの気持ちは、今でも忘れません。4か月の息子の顔を思い浮かべながら、「俺は何をしているんだ」と、公園のベンチで泣きました。

それでも妻は、私を責めませんでした。
家に帰ると、いつも「大丈夫よ」それだけでした。

だから私は思いました。もっと働かなければ。家族を守らなければ。妻に苦労をかけてはいけない。子どもたちには、いい人生を送らせたい。全部、本気でした。

第2幕|働き方改革の反対側を全力疾走

睡眠4時間、年中無休。
「立派な父親」のつもりだった。

ところが――。会社が成長すると、私の働き方はもっとひどくなりました。

36歳頃には、毎週月曜日に飛行機で東京へ行き、金曜日まで都内を走り回る。週末に香川へ戻ると、今度は製麺工場で仕事。睡眠は1日4〜5時間。ほぼ年中無休。

「働き方改革の反対側を、一人で全力疾走していた」ようなものです(笑)。

でも当時の私は、まったく疑問に思いませんでした。むしろ、「これだけ家族のために頑張っている俺は、立派な父親だ」くらいに思っていたかもしれません。

第3幕|見事な矛盾

家族のために働きすぎて、
一緒にいる時間が消えた。

ところが、今振り返ると、大きな矛盾があります。
私は、家族のために働いていました。

家族のために働きすぎて、
家族と一緒にいる時間がなくなったのです(笑)。

これは、なかなか見事な失敗でした。お金を稼ぐ。会社を大きくする。子どもたちに良い教育を受けさせる。私はそれが「家族を愛すること」だと思っていました。

でも、ここで一つ大事な問いが残ります。それは、本当に家族が望んでいたことだったのでしょうか。
私は、家族に聞いたことがありませんでした。自分で決めて、自分で頑張って、自分で犠牲になって、そして「全部、家族のためだ」と思っていたのです。

この記事をWebで読む →

失敗から生まれた「根っ子の視点」を、次号もお届けします

第4幕|根っ子学から見えたもの

立派に見える
「犠牲根っ子」の罠。

77歳を過ぎて根っ子学を作り、自分自身を深く見つめるようになって、ようやく気づきました。
私の中には、「犠牲根っ子」が深く張っていました。

思い込み①

自分が頑張る

自分が我慢すればいいという執着。

思い込み②

自己犠牲は当然

家族のためなら犠牲も当然という美徳。

現実の結果

周囲を巻き込む

自分が休まないから周りも休めない。

一見すると、とても立派です。ところが、この根っ子が強くなりすぎると、自分だけでなく周囲まで巻き込んでしまいます。自分が休まないから、周りも休みにくい。自分が仕事第一だから、家族もそれに合わせる。そして本人だけは、「みんなのために頑張っている」と思っている(笑)。

第5幕|善意の影根っ子

愛していなかったのではない。
愛し方を間違えていた。

根っ子というものは、本当に厄介です。悪意があるものより、善意から生まれた影根っ子の方が、本人には見えにくい。

私の場合もそうでした。家族を愛していなかったのではありません。むしろ逆です。愛していたから、一生懸命働いた。
ただ、愛し方を間違えていたのです。

今なら分かります。家族のために働くことも大切。しかし、家族と一緒に笑うこと。話を聞くこと。何もしないで一緒に過ごすこと。それも同じくらい大切だった。

会社の売上は後から取り戻せることがあります。
しかし、子どもが5歳だった一年は、二度と戻ってきません。

これは、51年間経営してきた私が、今になって強く感じていることです。

今日の根っ子|経営者の皆さまへ

父親としての私には、
取扱説明書がなかった(笑)。

だから今日、経営者の皆さんに一つだけ問いかけたいと思います。
あなたが「家族のため」と思って一生懸命やっていることは、本当に家族が望んでいることでしょうか。

一度だけでも、「私は家族のために何をしているか」ではなく、「家族は、私に何を望んでいるのか」と考えてみてください。答えが少し違って見えてくるかもしれません。

私の場合、気づくまでにずいぶん時間がかかりました。会社の機械には取扱説明書を付けていたのに、父親としての私には、取扱説明書がありませんでした(笑)。これも、私の大きな失敗です。

でも、気づいたところから、根っ子は変えられます。そして根っ子が変われば、家族との関係も変わり始めます。

読者の皆さんへ

「根っ子を見てほしい」と
一言だけ返信してください。

もし今、
「家族のために頑張っているのに、なぜか家族との距離が広がっている」
「子どものためと思っているのに、なぜか子どもとぶつかる」
そんなことで本当に困っている方がいれば、

このメールに、
「根っ子を見てほしい」
と一言だけ返信してください。

本当に困っている方だけ、根っ子を見させていただきます。

Webフォームから相談する →

発行人

ロッキー藤井

大和製作所創業者・根っ子学®創始者。約50年間の経営、家族、失敗、事業承継の経験から、人や会社を内側から動かす「見えない根っ子」を言葉と構造で見えるようにし、自然な成長につなげる研究と実践に取り組んでいます。

何度倒れても、また立ち上がる。
失敗の使い道は、後から変えられます。

無料ニュースレター

失敗の中にある根っ子を、
一緒に見つけませんか。

仕事・経営・家族・承継の問題を、表面の対処だけで終わらせないための「根っ子の視点」をお届けします。

無料購読の詳細を見る →
© 根っ子学® / ロッキー藤井
配信停止登録情報の変更
上部へスクロール
藤井 薫 オフィシャルサイト