ロッキー藤井の失敗劇場⑥
「どんなラーメンでも作れます!」
と言ったら、
授業料を返す羽目になった(笑)
何度倒れても、また立ち上がる。
皆さん、こんにちは。藤井薫です。
何度倒れても、また立ち上がる。ロッキー藤井です。
私は長年、麺学校をやってきました。最初に始めたのは、うどん学校です。
開校から4年ほど経ち、全国から生徒さんが集まるようになると、お客さまや営業員から、こんな声が増えてきました。
「ラーメン学校も作ってください」
そこで私は、「分かりました。やりましょう!」と答えました。
この頃の私は、難しいことを頼まれると、「できません」ではなく、「面白そうですね!」と言ってしまう人間でした。今もあまり変わっていません(笑)。
第1幕|いきなり始めたわけではありません
予行演習を重ねて、
「これなら大丈夫」と思った。
さすがに私も、何の準備もせずラーメン学校を始めたわけではありません。何度も予行演習をしました。
最初は生徒さんを招いて、無料のラーメン学校まで開きました。問題点を洗い出し、改善する。またやる。また改善する。
「これなら大丈夫だ」そう思って、正式に開校しました。
ここまでは良かった。
問題は、私が
余計なことを考えたことです(笑)。
他のラーメン学校と同じでは面白くない。どうせやるなら、圧倒的に違う学校にしたい。
そこで私は、「生徒さんが作りたい味を、無添加・無化調で教えます!」という、とんでもないことを始めてしまったのです。
第2幕|生徒さんは遠慮してくれなかった(笑)
「あの店の味を再現して」
難題が次々に飛んできた。
私は心のどこかで、「こんなラーメンを作りたいんです」くらいの相談が来ると思っていたのかもしれません。
甘かった(笑)。
地元の繁盛店
「地元で大繁盛している、あの店の味を作りたい」
超人気店の味
「あの超人気店のスープを再現してほしい」
無添加・無化調
材料・火加減・時間を変えて、必死で作りました。
「先生、違います。」
「できました!」と出しても、飲んでもらうと一言。「まだ違います。」
また作る。気がつけば深夜。さらに作る。朝になる。ラーメン学校なのに、私だけ徹夜学校になっていました(笑)。
第3幕|とうとう生徒さんが怒った
教えれば教えるほど、
授業料が戻っていった。
何度作っても納得してもらえない。とうとう、腹を立てる生徒さんまで現れました。
「こんなはずじゃなかった。
授業料を返してくれ!」
私は返しました。
ところが、これが一度ではない。最初のころは、何度も授業料を返しました。
生徒さんから授業料をいただく
教えれば教えるほど授業料が戻る(笑)
これでは学校経営になりません。
製麺機の世界では、私はプロのつもりでした。ところがラーメンの寸胴の前では、完全に鼻をへし折られました。
でも、私はなぜか、「もうラーメン学校をやめよう」とは思わなかった。
これに負けてたまるか!」
こうなると、私はかなり面倒な人間です(笑)。
第4幕|だったら、本物を送ってもらおう
「何となく違う」を、
数字で見えるようにした。
ある時、気づきました。そもそも私は、記憶やレシピを頼りに「あの店の味」を作ろうとしている。
だったら、本物を横に置けばいい。
生徒さんに、作りたい店のスープそのものを冷凍して送ってもらうことにしました。本物と、私が作ったスープを並べて飲み比べる。
ところが、まだ問題がありました。舌では、「何となく違う」までは分かります。でも、「何が、どれだけ違うのか」が分からない。
「だったら、測ればいいじゃないか。」
そこで、料理人ではなく、私の中のエンジニアが出てきました。
屈折計や塩度計を使い、スープの濃度や塩分を測る。材料の重量、温度、時間を記録する。
それまで「少々」「適量」「味を見ながら」だった世界を、どんどん数字に置き換えていきました。
見えるようになった。
最初は何度やっても作れなかった味が、次第に再現できるようになりました。しかも、無添加・無化調で。
デジタル・クッキングの誕生
授業料を返していた学校が、
全国ネットのテレビに出た。
私はこの方法を、「デジタル・クッキング」と名づけました。
やがてラーメン学校は注目され、『カンブリア宮殿』や『ガイアの夜明け』でも取り上げられるようになりました。
先生、違います
徹夜して作っても、生徒さんの納得を得られませんでした。
本物と数字を比べる
味を感覚だけでなく、濃度・塩分・重量・温度・時間で捉えました。
再現できる技術へ
無添加・無化調の味を、数字で再現できるようになりました。
人生、本当に分かりません(笑)。
授業料を何度も返していた学校が、全国ネットのテレビに出るようになったのです。
第5幕|何年も後に気づいた
根っ子診断も、
寸胴鍋の前から始まっていた。
何年も後、私は自分自身の「根っ子」を研究するようになりました。癇癪玉。思い込み。家族との関係。自分でも気づかなかった、自分自身の内面。
そして、ある時ふと思いました。
「待てよ。これ、ラーメンと同じじゃないか?」
ラーメンも、最初は「職人の勘」という見えない世界でした。それを私は、数字によって見えるようにした。
だったら、人間の内面も、質問への回答を数値化すれば、本人にも見えにくい傾向を見えるようにできるのではないか。
また始めてしまいました(笑)。質問を作る。答えてもらう。数値化する。本人の実感と比べる。違ったら直す。また試す。
濃度・塩分・重量・温度・時間
質問・回答・数値・実感
やっていることは、寸胴鍋の前で徹夜していたころと、ほとんど同じでした。
そして生まれたのが、
「根っ子診断」です。
見えにくいものを、本人と一緒に見えるようにする。私の仕事は、ラーメンから人間へ広がっていきました。
今日の根っ子|失敗は、ずっと後になって化ける
「違う」と言われたことが、
未来の技術になった。
もし、最初の生徒さんたちが、「先生、最高です!」と何でも喜んでくれていたら。
私は徹夜しなかった。授業料も返さなかった。「なにくそ!」にもならなかった。
デジタル・クッキングも、生まれなかったかもしれません。そして、根っ子診断も、生まれていなかったかもしれません。
私の方でした(笑)。
私に「違う!」と言ってくれた生徒さん。授業料を返せと言ってくれた生徒さん。今では、ありがたい先生だったのかもしれません。
失敗した瞬間には、その失敗の価値は分かりません。10年後、20年後になって、「あの失敗が、ここにつながっていたのか」と分かることがあります。
読者の皆さんへ
あなたにも、
「違う」と言われた経験はありますか。
失敗は消せない。
でも、失敗の使い道は変えられる。
その時は、ただの否定に聞こえた言葉が、後になって自分の技術や仕事の原点になることがあります。
もしこの記事を読んで思い出したことがあれば、このメールに「私も違うと言われました」と一言返信してください。
格好のいい話でなくて結構です。ちょっと聞かせてください。
「私も違うと言われました」と送る →発行人
ロッキー藤井
大和製作所創業者・根っ子学®創始者。約50年間の経営、家族、失敗、事業承継の経験から、人や会社を内側から動かす「見えない根っ子」を言葉と構造で見えるようにし、自然な成長につなげる研究と実践に取り組んでいます。
何度倒れても、また立ち上がる。失敗の使い道は、後から変えられる。
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