ROOTS LETTER FOR SME OWNERS
50年経って、初めて分かったこと
製麺機屋を
やめた日。
会社が大きく伸びた本当の理由は、
製品でも、営業でも、私の働く時間でもありませんでした。
経営者の皆さまへ。なぜ、あの時から会社が大きく伸び始めたのか。50年間の経営を振り返り、最近になってようやく、その答えが見えてきました。
もちろん、どれも必要でした。しかし、もっと大きな転換点がありました。それは、私が「製麺機屋」をやめた日です。
製麺機を作るのをやめたのではない。
「製麺機を売る会社だ」という
私自身の思い込みを手放したのです。
今振り返ると、あの日から会社の根っ子が変わり始めました。根っ子が変わると、会社全体が変わったのです。
一生懸命働きながら、同じ場所を回っていた
私は27歳で独立しました。もともとエンジニアですから、良い製品を作れば、お客さまに喜んでもらえると信じていました。
決して怠けていたわけではありません。むしろ、ものすごく熱心でした。
ところが今になって振り返ると、思うほど成果が上がっていない時期がありました。私は毎日一生懸命働きながら、昨日と同じ今日を繰り返していたのです。
忙しいことと、
会社が進化していることは同じではない。
問題を解決し続けることが、前進とは限りません。
頑張っている。忙しい。毎日問題を解決している。だから「前へ進んでいる」と感じる。しかし、同じ問題を繰り返していれば、会社は同じ場所を回っている可能性があります。
そんな私の見方を変えたのが、全く異なる業界の経営者との出会いでした。
セブン‐イレブンの話を聞いて、考え込んだ
ある時、私はモスバーガー創業者・櫻田慧さんの知人である経営者と出会いました。話題は、当時ものすごい勢いで成長していたセブン‐イレブンへ移りました。
町には、たばこ屋、酒屋、米屋など、家族経営の小さな生業店がたくさんありました。しかし時代が変わり、次第に経営が厳しくなっていました。
単に商品を売るコンビニではない。
消えていこうとしていた町の生業店を、新しい時代に合う店へ衣替えさせ、繁盛できるようにする。つまり「生業店繁盛支援会社」なのではないか。私はそう受け止めました。
その瞬間、私は自分自身へ問いかけました。
「では、大和製作所は何の会社なのだ?」
それまでなら、「製麺機を作る会社」と迷わず答えていたでしょう。しかし、その時は違いました。
「お客さまは、本当に製麺機が欲しくて、製麺機を買っているのだろうか?」
お客さまが欲しいのは、製麺機ではなかった
考えてみれば、答えは当たり前でした。お客さまが本当に望んでいたのは、機械そのものではありません。
その未来を実現する手段として、製麺機を買ってくださっていたのです。
「それなら、私たちの仕事は製麺機を売ったところで終わってはいけない」。私の中で、会社の使命が変わりました。
製麺機を売る会社
良い機械を作り、販売し、納品し、故障したら修理する。
麺専門店繁盛支援会社
美味しい麺、店づくり、経営、開業後まで、お客さまの繁盛を支える。
「何を売るか」から、
「何のために存在するか」へ。
この問いが変わったとき、会社の根っ子が変わりました。そして根っ子が変わると、次に何をすべきかという答えまで変わりました。
使命が変わると、仕事が自然に広がった
製麺機メーカーなら、良い機械を作り、売り、納品し、故障したら修理する。それで仕事は完結します。
しかし「麺専門店繁盛支援会社」なら、それだけでは足りません。
365日メンテナンス
週末に機械が止まっても、お店の商売を止めない。お客さまの営業を守るための体制です。
麺学校
良い麺づくり、店づくり、経営まで学べる場所をつくりました。
伴走支援
機械を渡して終わらず、開業から繁盛まで、お客さまと一緒に走り続けます。
これらは、ばらばらの新サービスではありませんでした。
「私たちは、お客さまを繁盛させるために存在する」
この一つの根っ子から生えてきた枝でした。その積み重ねが、長年念願だった業界トップへとつながっていきました。
50年経って、ようやく因果関係が見えてきた
当時の私は「会社の根っ子を変えたから伸びた」と考えていたわけではありません。ただ夢中で取り組んでいました。
しかし今、50年間の出来事を一本の線につなぐと、会社が大きく変わる前に、経営者である私の見方が変わっていたことが分かります。
木にたとえれば、枝を一生懸命引っ張ったのではありません。根っ子が変わったから、新しい枝が次々と伸び始めたのです。
「熱心なのに伸びない会社」に足りないもの
非常に熱心なのに、なぜか会社が伸びない経営者がいます。
そしてまた、「もっと頑張らなければ」とアクセルを踏む。かつての私にも、そんな部分がありました。
だからこそ思います。努力を増やす前に、問いを変えた方がよい会社があるのではないか、と。
「どうすれば、
もっと売れるか?」
「私たちは、そもそも
何のために存在するのか?」
あなたの会社は、本当は「何屋」ですか
これは、建設会社、食品メーカー、運送会社、税理士法人、機械メーカーといった業種を尋ねているのではありません。それは「何をしている会社か」です。
私が尋ねたいのは、もう一段深いところです。
あなたの会社は、お客さまの「何」を
より良くするために存在していますか。
お客さまは、本当は何を買っているのでしょうか。あなたの商品でしょうか。それとも、その商品によって得られる「より良い未来」でしょうか。
私はこの問いによって、「製麺機メーカー」から「麺専門店繁盛支援会社」へ変わりました。そして振り返れば、そこから会社が大きく伸び始めました。
気づけば、変えられる
これが、今も研究を続けている根っ子学®につながっています。
経営上の問題は、数字や戦略だけに現れるとは限りません。その奥に、「会社とはこういうものだ」「経営者はこうあるべきだ」「自分が全部見なければいけない」「この業界ではこれが常識だ」という、本人にも見えにくい思い込みが存在することがあります。
私は、それを責めたいのではありません。私自身がそうだったからです。
見えない心の暗黙知を、
見える形式知へ。
根っ子学®は、経営者の体験、価値観、使命、恐れ、思い込み、判断の癖を言語化・構造化し、経営、家族、承継に生かせる形へ整える技術です。
経営者の内的構造を扱い、本人が自分で気づき、選び直し、小さな行動へ変えるための伴走です。
私は異分野の経営者との出会いによって、自分の「当たり前」を疑い、会社の使命を変えました。それが、大和製作所が大きく伸びた重要な転換点だったと、今は感じています。
最後に、二つだけ質問させてください
あなたは今日も、
「昨日と同じ今日」を
一生懸命繰り返していませんか。
そして、あなたの会社は、お客さまの何を良くするために存在していますか。
「私たちの会社は、本当は○○を良くする会社です」
この一行だけでも結構です。正解はありません。私は一つひとつ、真剣に読ませていただきます。その一行に、会社の次の10年を変える新しい根っ子が隠れているかもしれません。
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