会社を渡すことと、息子を自由にすることは、まったく別でした。

私は、息子を
自分の持ち物だと
思っていた。

事業承継で本当に手放すべきものは、
役職や株式だけではありません。

経営者の皆さまへ。

今日は、少し恥ずかしい話をします。

私は長い間、心のどこかで「子どもは親のもの」と思っていたようです。

もちろん、口ではそんなことは言いません。子どもは一人の人間であり、本人の人生がある。自由に生きればいい。そう思っているつもりでした。

しかし、家業を子どもへ引き継ぐ「事業承継」になると、隠れていた思いが表に出てきます。

会社を子どもに譲ることはできても、
子どもを自分から解放することは、案外難しい。

THE HIDDEN CONTROL

「お前のために言っている」が、
一番危ない

何十年もかけて育てた会社を子どもが継ぐとなれば、親は心配になります。

失敗してほしくない社員を困らせてほしくない取引先に迷惑をかけてほしくない会社を潰してほしくない

だから、つい口を出します。

「それは違う」

「私ならそんなやり方はしない」

「まだお前には分からない」

「お前のために言っているんだ」

私にも思い当たるところがあります。しかし、本当に「子どものため」だけだったのでしょうか。

その奥に、「自分の会社を、自分の思い通りにしておきたい」という気持ちはなかったか。さらに深いところに、「自分の子どもだから、自分と同じように考えるはずだ」という思い込みはなかったか。

ここに、ファミリービジネスの難しさを生む「見えない根っ子」が隠れています。

ONE FAMILY, TWO LIVES

血はつながっている。
しかし、別の人間だった。

息子と私は親子です。しかし、それ以外はほとんど違う一人の人間です。

生まれた時代育った環境経験得意・不得意人との接し方価値観

社員や取引先なら「考え方が違って当然」と思えるのに、自分の子どもには「なぜ分からないんだ」と思ってしまう。

息子には、息子の人生があります。

FAMILY BUSINESS

事業承継では、いくつもの関係が重なる

創業者側創業者大株主会長
×
後継者側息子・娘後継者次期社長一人の人間

親として心配しているのか。創業者として反対しているのか。株主として判断しているのか。本人にも分からなくなることがあります。

そして創業者には成功体験があります。自分はこの方法で危機を越え、社員をまとめ、会社を育てた。だから、どうしても「私のやり方の方が正しい」と思ってしまいます。

NOT A COPY

後継者は、創業者のコピーではない

事業承継とは、創業者の成功法則をコピーすることではありません。むしろ、コピーしてはいけない場合さえあります。

創業者が会社を作った時代と、後継者がこれから経営する時代は違います。AIもSNSも、市場も働く人の価値観も変わりました。

過去の再現

「私はこれで成功した。だから、お前もこうしろ」

未来の創造

「守る価値は何か。方法は、あなたが決めていい」

後継者に未来を経営させるのか。
創業者の過去を再現させるのか。

THE DELEGATION TEST

「任せている」と言いながら、
最後は誰が決めていますか?

後継者が、あなたなら絶対に選ばない経営判断をしようとしたら、どうしますか。

違法でも無謀でもない。ただ、「自分なら絶対にやらない」という判断です。

止める説得する最終決定権を使う失敗の可能性も含めて任せる

社長の椅子、名刺、代表印を渡しても、創業者自身の心が会社を握ったままなら、承継は終わっていません。

LIGHT AND SHADOW

創業者を成功させた力が、
後継者を苦しめる力へ変わる

本当に手放すのが難しいのは、会社でも株でも肩書でもありません。「自分の方が正しい」という確信です。

その確信があったからこそ、誰にも信じてもらえない時にも進み、困難を越え、会社を育てることができました。

光根っ子責任感信念決断力粘り強さ
影根っ子抱え込み頑固さ支配任せられない

影根っ子を悪者にする必要はありません。もともとは自分や家族、会社を守るために育った力かもしれないからです。

大切なのは、今どちらの働き方をしているかに気づくことです。

THREE THINGS TO RELEASE

創業者が手放すべき、3つのこと

01

自分の正しさへの執着

成功体験は財産です。しかし、未来の唯一の正解ではありません。

02

口出しする権利

助言と指示は違います。決める権利まで後継者へ渡します。

03

子どもを所有する感覚

子どもは作品でも分身でもなく、独立した人生の主人公です。

WHAT SHOULD REMAIN?

会社を残すより、大切な承継がある

創業者のやり方、ルール、判断基準だけを残すなら、それは会社を「保存」しているだけかもしれません。

次世代が必要としているのは、
創業者のコピーではなく、
自分たちで未来を作るための土壌です。
守るべき価値は残す方法は変えていい創業者を否定してもいい新しい事業へ進んでいい失敗してもいい自分たちの会社へ作り直していい

それこそが、本当の意味での第二創業ではないでしょうか。

手放すことは、失うことではありません。握りしめるのをやめた時、初めて後継者の中に、自分にはなかった可能性が見えてきます。

NEKKOLOGY®

見えない心の暗黙知を、
見える形式知へ。

根っ子学®は、経営者の体験、価値観、使命、恐れ、思い込み、判断の癖を言語化・構造化し、経営、家族、承継に生かせる形へ整える技術です。

経営コンサルでも、自己啓発でも、スピリチュアルでもありません。

経営者の内的構造を扱い、本人が自分で気づき、選び直し、小さな行動へ変えるための伴走です。

今日、あなたに一つだけ質問します

後継者を「自分とはすべてが異なる一人の人間」として、本当に見ていますか?

もし息子や娘が、あなたとはまったく違う会社を作ろうとしたら、心から応援できるでしょうか。

「私は、まだ任せられていないかもしれない」
そんな短い一言でも大丈夫です。

正解はありません。創業者、後継者、どちらの立場からでも構いません。皆さまの体験が、これからのファミリービジネスをより良くするための貴重な知恵になります。

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